2023年12月農林水産省公表 「食品企業向け人権尊重の取組のための手引き」

こんにちは。

いつもお仕事、毎日の家事お疲れさまです。

仕事始めのイラスト「やる気のある女性会社員」

 

今回は、農林水産省HPで2023年12月に公表された

ガイドライン「食品企業向け人権尊重のための取組のための手引き」を取り上げます。

 

食品工場では、外国人と日本人のトラブル、長時間労働、人手不足、パワハラの問題をよく聞きますね。 

 

www.maff.go.jp

 

 

今後、取引先が取組実施の有無を

工場管理の質問票、見学時の口頭質問に追加する可能性があると思い記事に取り上げました。

ただし、重いチェック項目にならないと思われます。

 

ガイドラインは日本政府が2022年に公表した「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドラインに基づいて作成されました。

目的は、人権尊重の取組に対する理解の深化と取組の促進です。

※さらに拠り所をさかのぼっていくと、国連人権理事会での「ビジネスと人権に関する指導原則」の指示にたどり着きます。(https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000062491.pdf)

※SDGsがらみだと思います。

 


では、人権尊重の問題とは、何を指すのでしょうか。

 


まず、ガイドラインは人権の範囲として、企業は事業活動に関わる全ての人権を尊重しなければならないと定めています。

つまり、雇用形態にかかわらず全ての労働者、取引先労働者、顧客・消費者や事業活動が行われる地域住民等が範囲です。

 

そして、次の13項目を取組において意識すべきポイントとして掲げています。

① 強制労働の禁止

② 児童労働の禁止
③ 差別の排除
外国人労働者の権利の尊重
⑤ 結社の自由・団体交渉権の尊重
⑥ 労働安全衛生の確保
⑦ 過剰・不当な労働時間の禁止
⑧ 公正な賃金の支払い
⑨ 暴力とハラスメントの禁止
⑩ 先住民・地域住民の権利の保護
⑪ 消費者の安全と知る権利
⑫ 管理体制
サプライヤーへの展開の仕方

 

各項目の具体例は、農林水産省HP「食品企業向け人権尊重の取組のための手引き  別添1」で確認できます。(https://www.maff.go.jp/j/shokusan/kokusaihan/attach/pdf/jinkentebiki-1.pdf)

農林水産省 食品企業向け人権尊重の取組のための手引き 別添1 (② 児童労働の禁止)



 

ガイドラインでは、3ステップを踏んで取組を進めるよう導かれています。

  1. 人権方針の策定
  2. 人権デュー・ディリジェンス
  3. 救済

 

1は、ガイドラインに具体例が記載されています。

策定していない会社では、ガイドライン具体例を引用して自社に合わせた方針作成をお勧めします。


記載を推奨するポイント(下記7つ)があるからです。

社内周知も評価ポイントになると思います。

周知方法の詳細な記載はありませんでしたので、見えやすい場所に掲示・朝礼で読む程度でよいかと思います。

 

1. 位置付け

2. 適用範囲

3. 期待の明示

4. 国際的に認められた人権を尊重する旨のコミットメントの表明

5. 人権尊重責任と法令遵守の関係性

6. 自社における重点課題

7. 人権尊重の取組を実践する方法

 

 

 

2の「人権デュー・ディリジェンス」は、
食品企業が事業活動に関わる全ての人権へのリスクを特定・防止し、

対応策を実施、

対応策に効果があったか確認・評価、

さらに効果のある対応策があるか継続的な改善を進めて、

自社の取組を説明・情報開示するための一連活動です。

 

PDCAサイクルみたいです。

 

 

 

以下4つのステップに分けて説明されています。

 ① 負の影響の特定・評価、② 負の影響の防止・軽減、③取組の実効性の評価、④説明・情報開示

 

作業シート「⼈権侵害リスクの特定・評価」がダウンロードができますので、2への取組は利用して作業を進めればよいと思います。

なおかつ、人権尊重の防止策の責任者を明確にしてください。

 

中小企業の食品メーカーでは、取組実績の証拠として作成した作業シートを持っていればよいと思います。

 

農林水産省 「食品企業向け人権尊重の取組のための手引き」 

農林水産省「食品企業向け人権尊重の取組のための手引き」

 

 

 

3の救済の具体例は、謝罪、原状回復、金銭的・非金銭的補償、再発防止プロセスの構築等です。

 

苦情への対処は、8要件※を備えているか確認する必要があります。

ただ、数時間で終わる通常の工場視察において、要件を備えているかまで書類確認・質問されないと思います

 

※8要件:①正当性、②利用可能性、③予測可能性、④公平性、⑤透明性、⑥権利適合性、⑦持続的な学習源、⑧対話に基づくこと

 

 

【まとめ】

中小企業では、①人権方針の策定②作業シートの作成※をおこない、③人権尊重の防止策の責任者を明確にしておけばよいと思います。

※作業シート「⼈権侵害リスクの特定・評価」

 

 

取組まれる会社では、社内・親しい取引先に似たマニュアルがないかお話しを聞いてみてください。

 

詳しい情報を知りたい場合は、ガイドラインの参考資料・リンク集を確認してください。

 

個人的には、重要項目にされないと思います。