包装前面栄養成分表示に向けた検討会が開催されました

 みなさんは、スーパーでお菓子やレトルト食品を購入する際に栄養成分表示を確認されますか。また、栄養成分表示の情報が分かりづらい、読みにくいと思ったことはありますか。

今、消費者庁で包装のおもて面に図を用いて栄養成分表示する方法が検討されているようです。

 

 

 先日2023年11月2日に、消費者庁にて「分かりやすい栄養成分表示の取組に関する検討会」を開催され、栄養成分表示の話し合いがおこなわれました。 


www.caa.go.jp

 

検討会の資料で気になる言葉が一つありました。

 

●包装前面栄養成分表示

 

ーーーー※以下は法律・通達・ガイドライン等で確定した内容ではありません。ご注意ください。ーーーーーー

 

 包装全面栄養表示は、パウチのおもて面(商品の全面・一般的に一番目立つイラストや商品名側)に図を用いて栄養成分表示することです。

栄養成分表示を図にし、一目でわかる位置(前面)に表示して消費者が健康的な食品を選択しやすくする目的で検討されているようです。

 

 『「容器包装前面表示制度(栄養)」(FoPNL)とは、包装食品の背面に表示されている栄養表示表を、消費者の目につきやすい前面にグラフィカルに表示する制度』

(引用:EU 容器包装前面表示制度(FoP)に関する調査 2023年05月08日農林水産省https://www.maff.go.jp/j/kokusai/kokusei/kaigai_nogyo/k_syokuryo/attach/pdf/230410-42.pdf)

 

 

 検討の背景は、以下の2点が大きいようです。

①健康的で持続可能な⾷環境づくりの推進が図られることを好機として、⾷品表⽰⾏政としても、消費者の健康の維持・増進に資する⾷環境づくりを後押しすべきタイミングであること。

②WHOやコーデックス委員会では、包装前⾯栄養表⽰ガイドラインを策定しており、国内においても、⾃主的な取組としてFOPNLを採⽤する⾷品関連事業者が存在すること。

(引用:栄養成分表⽰制度をめぐる事情について 消費者庁 令和5年11⽉)

 

 

 そもそも栄養成分は、食品表示法第三条で表示しなければならないと定められています。食品表示法は、食品衛生法JAS法および健康増進法食品表示に関する規定を統合した制度です。このうちの健康増進法の第一条に『国民の健康の増進の総合的な推進に関し基本的な事項を定めるとともに、国民の栄養の改善その他の国民の健康の増進を図るための措置を講じ講じ、もって国民保健の向上を図ることを目的とする。』とあります。 

そのため、消費者の健康の維持・増進に資する⾷環境づくりに必要な表示である必要があることと理解できます。

しかし消費者庁HPの資料だけでは①の後押しすべき"タイミング"である理由がわかりません。※2023年12月23日現在で議事録は掲載されていません。

 

 

②は、日本が加盟するコーデックス委員会において、2021(令和3)年 11 月に包装前面栄養表示ガイドラインが採択されており、これに沿った表示をする必要があると分かります。

コーデックス委員会は、消費者の健康の保護、食品の公正な貿易の確保等を目的として、1963年にFAO及びWHOにより設置された国際的な政府間機関であり、国際食品規格の策定等を行っています。

(引用:コーデックス委員会:農林水産省 令和2023年12月 農林水産省HP)

また、過去に他国から国際食品貿易の促進の面でも必要である旨の説明をうけ、食品表示部会をおこなったようです。

 

日本は、コーデックス委員会ガイドラインを承認しいます。

ガイドラインでは、

A 国内の法律に沿って、任意⼜は義務とすることができる。

B 各国で政府が推奨するFOPNLは1つだけであるべきである。
C 根拠に基づいた国⼜は地域の⾷事ガイダンス若しくはそれがない場合は健康・栄養政策に沿ったものでなければならない。
D FOPNLは政府主導であるべきであるが、⺠間部⾨、消費者、学界、公衆衛⽣学会等を含む全ての利害関係者と協働して開発すべきである。

とされているそうです。

 

コーデックス委員会に加盟しているフランス・スウェーデン等他国の包装全面栄養表示の図は『栄養成分表示制度をめぐる事情について 消費者庁)』に掲載されています。

https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/meeting_materials/assets/food_labeling_cms206_20231101_03.pdf

各国ごとに表示方法は異なり、カナダでは包装全面栄養成分表示を義務表示、フランスとイギリスで任意表示とされています。

 

日本国内でも、自主的に包装前面に栄養成分表示する食品メーカーも多くなってきていると感じます。

 

ただ、食品メーカーの栄養成分表示への対応に課題もあります。

中小企業では、手のひらの半分ほどのサイズのシールですべての商品表示(栄養成分・原材料名・期限表示等)をする会社が多いです。

弁当屋の商品ラベルを想像してみてください。

このシールは、現状の表示に対応するぎりぎりのサイズです。

文字・枠も簡単な入力しかできません。シールで贈答品などのおもて面に栄養成分表示がされていたら、美観を損ねないでしょうか。

また、シール表示の場合は、裏面と表面の2箇所のラベル2枚以上が必要となります。

増えたラベル代は製造者・販売者の負担になるでしょう。

 

中小企業の栄養成分表示への課題、消費者の健康の維持・増進に資する⾷環境づくり等に対応した案づくりは難しいと思います。

一方で、販売先を増やす可能性を見いだせるとも感じました。

包装前面栄養成分表示で健康を考えやすくなり、商品を選ぶ楽しさも増えます。

健康に気を使う消費者は、包装前面栄養成分表示がされた商品を選ぶと思います。

 

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資料読みと文章作成は難しい。。。